あかいボタン
水菜

小指ほどの小人が縫い付けているのは、
あかいボタンでした

繕いものは、みるみる整って

小人は、満足げに嘆息しました

小人は、やわらかな綿そのものを布団にしてくるまると

月を見ながら涙しました

次の日、青い目のえっちゃんのもとに

繕ってあかいボタンを縫いつけたあかいカーディガンを持っていくと

えっちゃんは、瞬きを二回だけしました

えっちゃんのありがとうの合図です

小人は、じんわりする涙をこらえて、照れ笑いしました

満月の夜に天使が小人を迎えに来たとき

小人は、ちいさく瞬きました


自由詩 あかいボタン Copyright 水菜 2017-01-16 02:04:47
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