外 来
塔野夏子

病院の長い待合い廊下に坐って
考えている
私の気はたしかなのかと
時々 呼び出しに応じて
いくつかの個室のどれかへと
人が 入ってゆく
そしてやがてまた出てくる
入ったまま
出てこない人もいるような気がする
白衣の自動人形たちが
目の前を行き交う
ずいぶん長いあいだ待たされながら
考えている
私の気はたしかなのかと
個室の入り口を覆うカーテンの陰で
なにか得体の知れない存在が
にやりと笑っているような気がする
呼び出しは記号のように発される
人が 入ってゆく
そしてやがてまた出てくる
入っていないのに
出てくる人もいるような気がする
待ち時間は長く
待合い廊下も長い
私の気よたしかであれ
私の名が呼ばれるまでは



個人サイト「Tower117」掲載作品


自由詩 外 来 Copyright 塔野夏子 2005-03-05 22:04:49
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