玉子様が現れた
桜 葉一

こういっちゃ何だけど
私って自分の美貌には自信があって
家もお金持ちだし
男にはモテるし
ぶっちゃけ不憫なことはないっていうか
今まで手に入れたいものは全部手に入れたし?
まぁそれがゆえひがまれてたわけで
こんなことになったんだけど


死んじゃったんだよねー

うーん
なんでかなー
女って怖いよねー
毒だよ? 毒!
信じられる?
毒りんごだった
ってならまだメルヘンチックだけどさぁ
なにに入ってたのかなー?
あの時 飲んだワインかなー?
よーわからんのだけどさー
なーんか急に
くらー
ってきて
ふらー
ってなって
ばたんきゅー
って
もう嫌になっちゃう
私ってまだ25でしょう?
人生まだまだこれからじゃない
ほんっと
まだまだやりたいこと沢山あったんだよ?
分かるよね
この気持ち

でもね
すっごいことが起こったの
もぅ死んでるのに
ビビビ
ってきちゃった
そういうのって雰囲気で分かるんだよね
近くにいるだけで
もうフェロモンのように香るんだよね
私死んでるのに飛び上がりそうになったもの
あぁいけない私は死んでるんだったわ
ってすぐに思い直さなきゃ危なかったわ
だって
だってそうでしょう?
目覚めてしまったらせっかくのチャンスが台無しじゃない

そう!
現れたのよ!
玉子様が!
もう素敵たっらありゃしない
キスして目覚める?
あぁ
なんて素敵なお話
誰が考えたのかしら
もう
尊敬ものね

それでね
不思議でしょう?
死んでるのに近づいてくるのが分かるの
だって匂いが素敵なんだもの
もぅ!
あぁ!
これ以上は恥ずかしいわ
私のね
唇に
玉子様の唇が触れたのよ
チュッてね
接吻よ接吻
もー私ったら興奮して思わず目覚めちゃったわよ
後悔したわー
だって
目を瞑ったままだったら
もう一回キスしてくれたかもしれないでしょう?

でもね
本当に後悔したのはその後よ
見たのよ

玉子様の顔を
もぅこの世のものとは思えないのよ
こんなこと言ったら失礼よね
それは分かってる
分かってるけど
もぅあぁ最悪
だって緑
いや黒よ
もぅ表現できないわ
あんな色
そして言ったのよ
私に向かって
笑みを浮かべて言ったのよ
「ワタクシ、玉子村のピータンです」
って


私気絶しちゃったわ


自由詩 玉子様が現れた Copyright 桜 葉一 2005-03-03 23:18:49
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