ケダモノの実
藤鈴呼


ガリッと ゴキッと
ケタタマシイ音を鳴らす

人齧りで
ゴリラも ドキッと 引っ繰り返り

今来た道を 踵返して舞い戻りそうな 勢いで
あなたが 舞う

ちら・ほら・ちらら
世の中は 始まりの合図

Eyesばかりに 埋もれてないで
もっと 下界を 見渡しなさいと
天使が言えば
ふわり 天女が 舞い踊る

日本舞踊に 似合うのはね 
きっと扇子

あなたの センスが 大問題と
水晶の 果てなく透明な球を 眺めるけれど
何処か 可笑しい

この傷 昔から あったっけ?
そうだったっけ?

なんかね ちょっと
目の前が 霞むような 気がするの

それ ひぶんしょうじゃない?
ヒブンショウ?

そう。蚊が跳び回るような 
不愉快な感覚が するでしょう?

うんうん だから 飛蚊症

ああ でもね 
ちょっと 疲れてるって感じだから

憑かれてる、って感覚とは 
ちょっと 違うの

なら大丈夫
あなたは きっと 大丈夫だよ

カリッ
あの時 悪魔に見えた ケダモノの実

名前からして 
近付き難かったのだけれど

こんな 冬の澄んだ青空に 
似合うくらい

干したての 煎餅蒲団が 
一瞬で ふわっと 舞い上がっちゃうくらいに
ジューシーなの

そう リンゴのようにね
凛として いるのよ

リンとして 活きるのよ

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自由詩 ケダモノの実 Copyright 藤鈴呼 2016-11-23 22:27:58
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