カマキリ(百蟲譜2)
佐々宝砂

烏瓜が真っ赤に色づき
葛の葉っぱがみんな枯れ
桑の木がセミヌードになるころ
カマキリは生きながらに枯れる

雄を食ったのは晩夏で
そんなものとっくに消化して
それでもまだ冬がこないので
大儀そうに枯葉色の鎌を揺らす

でっぷり肥った腹に
たっぷり蓄えた卵を
すっかり排泄するまで

枯れたカマキリを
暖房の部屋に入れるな
寒風にさらしておけ


(未完詩集『百蟲譜』より)


自由詩 カマキリ(百蟲譜2) Copyright 佐々宝砂 2003-11-13 22:01:40
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