大地の広場
藤鈴呼


喉元でクグモッテいる言葉を
噛み砕いてみないか

ヨダレを垂らした狼が
遠吠えを繰り返す

夜が好きで
闇がキライで

狭い処は 何故か安心できるからと
膝を抱えて眠る

その態勢は 心配事を抱えている証拠だよと
夢の中で 狐が笑う

精一杯 背骨をS字に折り曲げて 
垂直の文字を 描くように

髪の毛 全てを 束ねて 
カラーリングなど 必要ないのと
自ら溶いた炭で 掻きつける

硯の窪み方が 大きすぎて
転がってしまうかのよう

和紙の厚みが 足りないから
裸足で駆け抜けるには
危険すぎる道

芝生の上ならば 安全だろうか
隅っこで 地面を 蹴り上げながら 
少しでも多く 泥を掻き出す仕草をしながら
大きなスコップを 探す

ここには筆がないから
大きな文字を 描くには
身体を 魚のように くねらすしか
仕様がないのだけれど

ここには墨がないから
見やすい言葉を 表現するには
改行を増やすしか 致し方 ないのだけれど

春の息吹の中で
身体が筆になるような気持ちを
連想しながら

ガリガリに磨いた 鉛筆の芯を
今度こそ 折り曲げないようにと
運ぶ

吹きすさぶ風の中に 
温もりを感じられる 不思議

蕾の息遣いが 
暖かく感じられるのかも しれないと
希望だけは 忘れずに
次の 一言を 探しながら

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自由詩 大地の広場 Copyright 藤鈴呼 2016-10-28 20:18:41
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