小詩集「十一月十三日の朝の夢」
バンブーブンバ

1.夢前編:クレバス

  ワンルーム まっ白で
  床に 暗い
  クレバス
  あって

  確かに そばに 
  何か 
  あって 



  落ちた。



  クレバスに
  何が落ちたというの?

  (鳥瞰図的俯瞰のビューポイント)



2.夢後編:泣いていて

  みな 泣いていて

  父親 なぜか
  両肘やぶけたスーツ 着ていて
  つんざくように 
  泣いていて

  わたし 途方に暮れて 
  つっぷして クレバスの 
  そばに敷かれた布団に 

  起き上がる すると
  誰も彼も クレバスも
  いなくなっていて

  誘われるように 
  ベランダの 窓を開け放ち
  一人どこまでも 青い空を 
  眺めていて

  泣いていて



3.起きた。
 


4.夢日記を「詠」んで

  短針は 「3」のあたりで足踏みしていて
  ぼんやりと パソコンに 夢日記 
  カタカタ詠むけれども

  綴られた文字の並びは 
  「デ・ジャ・ヴ」と言った気がしたりして
  となりの部屋から いつものB’z 暗闇に
  ミシミシ聞こえて

  なんだか きもち わるくなって

  やっぱり わたし
  ベランダの 窓を開け放ち
  一人どこまでも べた塗りの 黒い空を 
  眺めていて
 
  そうして いつの 間にか 
  眠って



5.五時だ。



6.夢日記を「読」んで

  蛍光の 緑のランプ 明け透けに 
  明滅していて
  夢日記 風前の 灯火みたいに
  霞んでみえて

  ファイル再び 開いてみると
  そこに わたしの夢は いなくて

  きっと 文字や行の 透き間を
  すり抜けて いってしまったのだと

  モニターの 蒼い光
  9ポイントの カケラたち浮かぶ


  ほんの少し 
  少しだけ 泣いて

  わたしは



7.打刻:十一月十三日の朝の夢_

 


自由詩 小詩集「十一月十三日の朝の夢」 Copyright バンブーブンバ 2003-11-13 20:18:13
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