東京
為平 澪

乳の出なくなった母豚が 
子豚を育ててくれるという、 
やさしいニンゲンに預けた

彼らは 何もできない痩せた子豚を
段ボールの中で育てた

しかし 相変わらず豚は、豚
ただ 闇雲に食べるしか能がない、豚

段ボールが破裂しても 
豚はまだまだ食べ続けた

ニンゲンは 予定通り
豚を殺して何日もかけて食べた

乳の出なくなった母豚は 
子豚が闘牛になるような夢を描きながら
暗い 豚小屋に横たわり 
豆電球の明かりのような 希望を灯した
   


自由詩 東京 Copyright 為平 澪 2016-09-26 14:02:56
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