旅人の手
服部 剛

鉄格子の間に坐る、あなたは
じっと――待つ
小さい窓から射し込む
一条の光にふれる、あの瞬間を

旅人の静かな足音は
やがて…遠くから響き
あなたはゆっくり、立ちあがる

(深く澄んだ瞳がみつめている)

今も尚、血の通う
あなたの手にふれたい…と
旅人の手は
鉄格子の闇の中へ  






自由詩 旅人の手 Copyright 服部 剛 2016-09-20 20:47:39
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