joint/逃避行

「joint/逃避行」

ペーパーの中に詰められたタバコとweed

器用に巻く仲間の手

舌で舐めて切手みたいに貼り付けて

宛先は  はるか上空に

どうせなら長いTripがいいから

焦らずにゆっくりやる

カッチとライターの音がして

テントの裏に赤い玉が一つ浮かぶ

そこから昇る煙をじっと見つめながら

仲間が鼻から煙を吐き出すのを待つ

「今回のはいいね」

そう言って右回りに回されるjoint

一口吸ったフレンチが上機嫌で話し始める

「俺は実はブロンドの女が好きなんだ」

右手でjointを受け取って笑いながら
「お前の彼女はブルネットだろ」と答える

テント裏   彼女達の監視のない男共の会話

きっと言論の自由ってこれのことなんだろうな

jointを咥えて一口大きく吸い込む

煙が肺に入って頭に昇るイメージを思い浮かべて

鼻から煙りが抜く

草の香りと共に

鼻の穴を神が通過して

幸福感だけが体の中に残ってる

「awesome」と叫ぶ
自分の第一声はいつもと違って聞こえて

テーブルの上に置いあった冷めたピザは世界で一番美味いピザに変わってる

仲間のくだらない話を聞きながしながら空を見上げると
空はいつもよりずっと近くなっていて

手を伸ばすと白く立ち昇る雲に手が届いてる










自由詩 joint/逃避行 Copyright  2016-09-05 22:21:36
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