八月
八雲みつる
夏の夜の
祭りの後の
一人の帰り道の
ぼんやりした明かりを孕み
しっとりと、質量を持って
多大なる命を抱き
その質量はまるで手の様で
母の、友の、恋人の、
恩師の、子供の、人殺しの
誰の手の様でもあり
優しく私を撫で付ける
不意に一鳴きした
路上に這ったアブラゼミ
お前は殻を脱ぎ捨て空を舞い
身体を脱ぎ捨て何処に帰るのか
夏の夜が孕む朧気な光は
お前たちの魂か
祭囃子は、まだ止まぬ
夏の夜の
祭りの後の
一人の帰り道
自由詩
八月
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八雲みつる
2016-08-14 23:12:10
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