純粋なひとびとが
吉岡ペペロ

ほおずきをぶら下げて

ぼくは萎れたオレンジをぶら下げて

お寺の門にひろがる空を見る

勇気を与えよう

安心を与えよう

不穏なことに慣れ親しもう

そしてみんなで自民党に入れよう

支持母体への信頼だけで投票しよう

身長や年収やセックスのうまさだけで

相手をえらぶようにね

純粋なひとびとが

不純に駆け込んでいくさまを

ほおずきをぶら下げて

ぼくは萎れたオレンジをぶら下げて

お寺の門にひろがる空を見る


フォーレのパヴァーヌがよく似合う時代だ

お寺につづく石段は低くて長かった

八百屋のキャベツは高かった

昔より安く乱暴に桃が売られていた

フォーレのパヴァーヌがよく似合う時代だ


ほおずきをぶら下げて

ぼくは萎れたオレンジをぶら下げて

お寺の門にひろがる空を見る

勇気を与えよう

安心を与えよう

不穏なことに慣れ親しもう

そしてみんなで自民党に入れよう

支持母体への信頼だけで投票しよう

身長や年収やセックスのうまさだけで

相手をえらぶようにね

純粋なひとびとが

不純に駆け込んでいくさまを

ほおずきをぶら下げて

ぼくは萎れたオレンジをぶら下げて

お寺の門にひろがる空を見る








自由詩 純粋なひとびとが Copyright 吉岡ペペロ 2016-07-10 16:05:33
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