雨宿り
有邑空玖

時折、T字路に立った時に感じる小さな不安
右へ行きたいのか
左へ行きたいのか
そんな些細なことにまで戸惑ってしまう
臆病な自分


雨が
降り続いているので
踏み出すことの出来ないこの身体
左耳のピアスは
塞がらない疵の象徴しるし


何を
恐れているの


動き出せずに爪先ばかりを見つめ続けて
顔を上げた空の向こうに
明日があることへの疑いを隠し切れないでいる
こんなにも静かな雨なのに
絶望にも似たあの雨雲のくろ
疵が疼いて
また不安に駆られる
臆病な自分
救いは内からやって来ることに
まだ気付けないでいる


何を
期待しているの



      
       
初出、Good Words Only及びメルマガ「おひるね通信」


自由詩 雨宿り Copyright 有邑空玖 2005-02-26 01:32:26
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