姫たちのお茶会 下
るるりら

姉妹は今日も
山間にある店に行く
季節は うつろぐ
路にはスイカズラが咲き
神経の先端が 花の香りに触れると
セカイのことなど すっかり わすれ
やるせなさと はかなさの間に
路が 現われるのだ

細い枝に 数珠つなぎに咲きそろう忍冬(スイカズラ)は
かならずひとつの場所に二輪づつ咲いている
次女は イギリスの宮廷バレイの踊り子のようだと思い
長女は 舞踏会への道だと想った
初々しく咲いて間もない花は あたかも淡い恋心の 男女
そして盛りを迎えると純白へと花色をかえ
さいごには花は黄金に色をかえる
あたかも感電して 神経が淫靡に死滅するかのように
花のなかでも この花は R指定だと長女は想った

店に入ると 年代を思わせるストーブは かたずけられており
窓からは店を覆うように咲く白薔薇が見えた

長女が注文したものが届き
テーブルの上のパフェは緑色をしていて次女は
食せば死にいたると夢想し
次女の前には 
店主が庭で今日に合わせて摘んだという苺いちごの実の汁があり
長女は 生血のようだと思った

 
 影の縁には複数の色が滲んでいて
 光をうけた緑は 清々と白い
 姉妹の艶やかな唇が潤されるようすを
 森の宝庫からぬけだした獣たちが
 観ていて 
 姉妹の喉の動くのと同時に獣たちの喉も動いた 


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自由詩 姫たちのお茶会 下 Copyright るるりら 2016-05-31 09:46:48
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