文月
あおい満月

夏が近づくと、
青空が目に染みる。
遠いはずのあなたを、
こんなにも近く感じる。
あなたは、
私の手首に突き刺さった、
血にまみれた硝子の破片を、
一枚ずつ抜いてくれました。
私は、
永遠を求めすぎて、
自己を傷つけてきました。
けれど、あなたが現れてから、
あなたと手をとって、
夜の街を走り出した時から、
ひとすじの光を見つけました。

今では手首の傷は、
消えかかっている。
風が柔らかく左手首を撫でていく。
私の本当の誕生日と、
あなたの誕生日がやってくる。
歩調を合わせながら、
ともに歳を重ねて、
私はまたひとつ、
かなしいよろこびに包まれる。

遠くで、
潮騒がないている。



自由詩 文月 Copyright あおい満月 2016-05-29 12:00:09
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