赤い実みつけた
藤鈴呼


甘噛みならば 痛くないですよと
あなたは 笑いながら
歯型のついた 白い手を
まるで 誇らしげに 振っている

振り返れば 大きな柱
レール上を 進む訳には 行きませんので
高架橋を 進みましょう

教科書には きっと そう書いてある
どこかの村
誰も知らない 木々の隙間で
リス達が 勉強しているような 
青空教室

森の学校では 木の実が給食
たまたま手にしたココナツで
喉を 潤す

グリーンカレーは 苦手だけれど
ココナツや シナモンの香りは
とっても 好きなんです

可愛らしい兎が 耳で応える
手を挙げるのが 面倒な様子

猫の先生 「それでは次の問題です」
一番 可哀相なのは 一体 誰でしょう

騙された 人間ですか
騙した キツネくんですか
寝たフリをする タヌキくんですか

ねえ そんな事 言ったって
あの 赤い実は
とっても 美味しそうなんだもの

手を伸ばした ボスザルのこと
誰も 責められないわ

あれはね 小鳥がついばむ為の
名前が ついているのよ
何て名前かは 忘れてしまったけれど
とても 可愛らしい ネーミングなの

罰しなければならないわ
罰しなければならないわ

この先は 崖になるからと
バッテンマークつけた 警備員が 立っている

エックスジャンプを 連想してしまったから
ちょっと うふふって 笑えたの

この先 踏みこんじゃあ ダメだよ
人のココロは あやふやだからね

そっとして おきなさい
そっと実を 置きなさい
そっと身を 起こしなさい

私は ただ ただ
あの 赤い実が 欲しかった だけなのに

名前がどうだとか
形が どうだとか
私が どうなっただとか
うるさいわ

だらだらと 聞き流す 動物達の会話に
赤い実 みつけた

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自由詩 赤い実みつけた Copyright 藤鈴呼 2016-05-02 10:04:52
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