サード・パーソン
竜門勇気


容疑者はひとり
何人か殺して捕まった
殺してくれと叫んで
それっきり続報はない

自分を責めることが
手首に残ってる
安心のかたちは
ひとにはわかんねーよな

苦し紛れに放った言葉が
自分の人生を決めていく
苦しくっても嘘はつかないほうがいい
奴らはいつか
ほんとうに信じて欲しかった誰かにたどり着く

このかたちは
誰にだってあるのだと
そんなのも思い上がりだって気づくなよ
青い空が見えた時に
なにか違う言葉を探すのは
寂しいことなんだ

人を責める気持ちがなくなったら
なんて楽なんだろうとも思う
欲しがれないままで
自分すら忘れて

このかたちも
誰にだってあるのだと
そんな寝言で笑って生きる
ハリボテに自分で騙されて
少しだけ大人のやり方を齧る

大人ってすごいよ
大人ってだけで忘れても罪がなさそうな気がする
此処にあるだけで生きていく
それはバカな考えさ

僕が叫ぶ言葉は
まるで生きてるみたいに
生みの親を苛んで消えていくさだめ
誰かが正しいとか
今はいらない苛みをあの顔で
笑うだけ


自由詩 サード・パーソン Copyright 竜門勇気 2016-04-24 12:33:10
notebook Home 戻る  過去 未来