海上は大きな波がうねり
雲は重石のように心にのしかかる


平静を求めて　安楽を求めて
ゆっくりと底へ底へと
熱めのコーヒーと
うつ映画が私を導いてくれる

時が　光が　
小さな泡につれられ昇華してゆく
身体は暗い静寂に包まれ
海底に横たわる
私が私でなくなるように


仄かに香るコーヒー　
過去の断片的な記憶を引き出し
あたりを仄かに点らせる
そしてまた意識は海砂に沈んでゆく



エンドロールが流れるころには
身体は上へ上へと浮遊してゆき
穏やかな海面が私を温め　漂わせた