向こう側
hiro



冷たい風 淀んだ光 潮のかおりをうけ
霧がかった海に浮かぶタンカー船はゆっくりと横切ってゆく
私は風に身をまかせ感慨深く眺めていた





眠りに落ちた瞬間 わたしは意識から開放され
私であって 私でなくなる

思考 思想 認知などはスリープし
生命活動を司る臓器だけがドライブをつづける

まるで葉を食べる青虫を眺めるように
私と臓器(無意識)は切り離される





死とは無意識と繋がってるのではないだろうか
あとは無意識さえ消えればそこは死なのだから


時折 無意識から放たれる揺らめく灯火が死の世界を照らす
だかそれははっきりとは映し出さない 

そこは死であるから


無意識からみた死は近くて遠い




自由詩 向こう側 Copyright hiro 2016-02-29 02:40:00
notebook Home 戻る  過去 未来