指先の湿り
hiro

一面は乾ききった砂の大地

太陽が容赦なくあぶりつける

植物の集まりかと近寄るも 

風が作り出した砂の山陰だったことに落胆する

重たい熱風が背を押し付け

やせ細った体は倒れこんだ 

微かに動く右腕を手繰り寄せ汗を舐めた

わずかに残る力 下へ下へと手を伸ばす

あるはずもない湿りを欲し

朦朧とする意識の中に涙がこぼれた


自由詩 指先の湿り Copyright hiro 2015-10-19 01:31:20
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