魂の己
たけし

日が暮れて 時の進んで八時過ぎ
地平にどろんと浮かび上がる
巨大な下弦の月女
濃く黄緑に鈍く輝き
顔半分を失ったまま
うっとりどんより横たわる
朱に染まりひかる千切れ雲散らし


死んでいるのか  生きているのか
意識は混濁 ただ異様な光景だけが浮かび続ける
一定の律動刻む反響と共



遠い遠い 白く静まり 遠い感覚消えず
麻酔して麻酔されても
白い白い 遠く憧れ 白い感情消えず
メス入れてメス入れられても

これはどうやら私の人生
愉しみ苦しみ頂き目指して 朝に夕に口笛を吹く
荒々しく潮の満ち引き繰り返され

意識の一時の途絶えを越え
星にナルマデ骨にナルマデ
オールを操るのは
どんな人生だろうと
自らの自由な強い意志

あの半欠けの月女も
今は天空高く内奥深く
白く微笑み見守っているのか



三千年したら 
必ずまた産まれてくる
新たな課題を持って自らを浄化しに
この世界を
愛の光で力強く照らせるまで
何度でも 何度でも


自由詩 魂の己 Copyright たけし 2016-02-03 19:05:56
notebook Home 戻る  過去 未来