牛めし屋にて
もり


ワンコインで釣りのくる
牛めしのスクランブル交差点
その中心で
若い女の子は
額に汗を浮かべた
交通誘導員のよう


一方的に響く

「ありがとうございます」

自動ドアだけが
クールに仕事をこなしている


ふと、どこからか 聞こえた

「ごちそうさま」

茶を汲むのに精一杯で
今度は彼女のほうが
聞こえなかったらしい



自由詩 牛めし屋にて Copyright もり 2015-11-13 19:44:41
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