The Fool
レモン

オイラ昔は魔術師で
いとしいあの娘に星を贈ったさぁ
あの娘は星に願って、マハラジャの嫁になっちまった。
オイラはすっかりしょんぼりしちまい
建設途中の塔をほったかして
荒野で隠者生活。
ところがどっこい塔が崩れて
オイラは吊られちまったさぁ
切ない世の中だねいと月に独白すれば
自業自得と冷たく笑う
悪魔は嘲り
死神だけは優しかったさぁ
だけどさ、
運命の輪は廻っちまう
オイラまた生まれなきゃいけないんだと。
法王、皇帝、戦車と力
オイラに世界をくれると奴は言っただ。
だけどオイラは断った
生まれ変わるなら馬鹿になりたい。
それがオイラの望み。
そしてオイラは馬鹿になり裸足で歩いてる。
節制?
知ったこっちゃねぇ。
陽気がオイラの身上
ああ太陽はあったけぇなぁ。
女帝の夫は尻に敷かれ女教皇は厳ついさぁ
正義を行わなければ、審判の日に地獄行きだとさ。
かまやしないよ。
だってオイラは馬鹿だから、
恋人だけを
愛せればいい。




自由詩 The Fool Copyright レモン 2015-11-11 17:11:24
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