飛躍
高橋良幸

十字路でもない場所に
いちごジャムをサンドした食パンがおちていた
パンはアスファルトにくの字で立っていた、晴れの日に
それと気付いた時には数歩通り過ぎてしまい
Instagramにでも投稿すれば良かったかもしれないが
ただそれだけのことなので
その数歩を戻りはしなかった

まさか見通しの良い住宅街で
夢でよくある、パンをくわえた衝突が起きたわけでわないだろう
なんせそれで落として拾わないのなら
2連目でマナーについて語り出さなければらならなくなるし

現実的に考えて
あんなきれいな食パンがゴミ袋からこぼれたとは思えず
自転車で別のパンをほおばっていて
次に食べるパンを落としたのに気付かなかったのか
空腹のカラスに襲われてしまったのか
強引に差し出された爪に女子学生がおどろき
そういう強引さが好きよと
雄烏に恋をして
二人が飛び立ったあと
十字路でもない場所に
いちごジャムをサンドした食パンがおちていた


自由詩 飛躍 Copyright 高橋良幸 2015-11-08 14:21:16
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