突風
凍月


この暴風の中で
どうしても僕が吹き飛ばされないのが
とても不思議だった
こんなにも無価値で
こんなにも無意味で
泣きそうになるくらい軽く脆いのに

自己分析をして
捜し出した犯人は
自己防衛を言い訳に
必死で内壁にしがみつく
孤独なお前が
どうして弾けてしまわないのか
誰がお前を引き留める?
自己否定で漸く
己を分断してまでヒトリを逃れた
狡猾なお前たちを炙り出し
半端な容量が境界線も無いのに
ニセモノ達に領土を分割される
薄い壁を壊せば消えるくせに
その存在を主張する
首筋にナイフを当てても
感じる事は何も無い
鏡の奥で黙り込む
お前たちは一体誰だ?
何時から?何処から?何故?どうやって?何のため?
ははは




風が強い
一瞬、よろけて鉄柵を掴む
そんな風に固執して
空洞の内で触れないお前は
きっと幻覚か何かだろう
三人だか四人だかしらないが
暴風でまとめて吹き飛んでしまえ






自由詩 突風 Copyright 凍月 2015-10-02 21:33:39
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