シルバーウィークの終わり
番田
二日間寝込んでいた
外の景色もよくわからないまま過ぎていた
私は曇りと雨の日が嫌いだった
美しいと思う風景は
北海道の至る所で見られるものだ
しかしそこにたどりつくまでにいくら金と時間をかけられるか
最近はそんなことを考えるようになってしまった
(昔は行きたい場所があれば出かけていた
(キャスターの取れかかったトランクを引いて
(世界の遠い果ての場所であっても
(私は休む間も惜しんで歩き続けていたものだ
ある日私はフランスのマルセイユにいた
私は着くまでの長い道のりにくたくたになっていた
しかし世界中のどんな場所でも女性に声をかける私
そしていろいろな場所に連れ回された私は
翌朝疲れ切った体で
食堂で入れてくれたコーヒー牛乳を飲み パンを食べた
あの味は今でも忘れられない
部屋で私と親しくしてくれたアメリカ人や
中国人の人たちの顔を思い出す
私はあの日会社を辞めて どこに向かって歩いていたのだろう だけど
その道のりは 今でも続いている気がする