シルバーウィークの終わり
番田 

二日間寝込んでいた
外の景色もよくわからないまま過ぎていた
私は曇りと雨の日が嫌いだった


美しいと思う風景は
北海道の至る所で見られるものだ
しかしそこにたどりつくまでにいくら金と時間をかけられるか
最近はそんなことを考えるようになってしまった


(昔は行きたい場所があれば出かけていた
(キャスターの取れかかったトランクを引いて
(世界の遠い果ての場所であっても
(私は休む間も惜しんで歩き続けていたものだ


ある日私はフランスのマルセイユにいた
私は着くまでの長い道のりにくたくたになっていた
しかし世界中のどんな場所でも女性に声をかける私
そしていろいろな場所に連れ回された私は
翌朝疲れ切った体で
食堂で入れてくれたコーヒー牛乳を飲み パンを食べた
あの味は今でも忘れられない
部屋で私と親しくしてくれたアメリカ人や
中国人の人たちの顔を思い出す
私はあの日会社を辞めて どこに向かって歩いていたのだろう だけど
その道のりは 今でも続いている気がする


自由詩 シルバーウィークの終わり Copyright 番田  2015-09-27 22:03:46
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