狐が見た夢
斎藤 九

呼び声が聞こえた
小さな鳴き声
誘われたような気がして付いていった
ひたすら甘言を囁く
それはまるで悪魔のよう

でもそのいたいけな容姿は
とても悪魔には見えなくて
ついつい頭を撫でてしまった

カシャンという音がした
足に枷がついてしまった
狐は人間でもないのに
得意げにニンマリと笑った

狐は夢を見ていた
手に入れるなら
甘言も
可愛らしい容姿も
気づかないように罠をつけることも
何もかも手段は選ばないことを


自由詩 狐が見た夢 Copyright 斎藤 九 2015-09-26 17:45:29
notebook Home 戻る