鏡
はるな
鏡に釣り糸をたらして日がな一日それをみつめている男のひとにキスをしてまわる
わたしの靴はもう擦れてしまったから裸足で
くまたちはあきれて先に行ってしまった
どうですか釣れますかときくと誰もがおどろいて顔をあげるのに
いまから死にますよといっても眠たそうな目をぴくとも動かさない
そうこれは鏡ですよと言ったらたぶんばかにされてしまう
お前こそ靴もはかないで生きているくせにと
ばかにされたくない
ばかにされたくないのだ
たとえわたしがどんなにばかなのだとしても
自由詩
鏡
Copyright
はるな
2015-09-17 22:45:32