まだ人間のままだった
凍月




感情があるからダメだったのか
そんな訳はないと思いながらも
否応無しに下がっていく体温


勝手に好かれて
勝手に嫌われて
何の説明も無いまま進んで
いつの間にか無かった事になって
僕が知って良い事なんて何も無い
知るべき事なんて何も無い
意志を持つ必要も無ければ
君に疑問を抱く意味も無い
勝手に話は進んで
勝手に皆に嫌われて
気付く必要なんて無い
思考する意味も既に無い
真っ白に真っ白に
消し去れば良かったのだ
穴は地面が無ければ開きはしない
空白は地面すら生み出しはしない
僕がどうこうする必要は無い
僕の価値を決めるのは
僕の評価を決めるのは
僕を嫌いになるか否かは
君が勝手に決めれば良い

空白を彩る筆は無い
穴じゃないから塞がらない
僕は空っぽだから分からない
君が決めれば良いだろう
心を土葬して舗装して塗装して
鼓動の折れ線グラフを平坦に均す
簡単な事だったのだ
僕はもう、何も感じない
限りなく無機質で冷たい
コンクリートになれば良かったんだ



















それでも
君の横顔に見惚れる僕は




自由詩 まだ人間のままだった Copyright 凍月 2015-09-03 19:52:10
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