猛暑の行列 辛いライ雷カッ~
komasen333

並ぶ。
猛暑日に並ぶ。
炎天下で並ぶ。
そんなに食欲もないのに並ぶ。

話題の店だとすすめられたから並ぶ。
暑いけど並ぶ。
暑すぎるけど並ぶ。
やっとのことで店内に入る。

満員。
全然涼しくない。
空調はガンガンに入っているが
調理人の熱気と客の多さと夏日が相まって
画的にも体感的にも涼しさを感じない。

注文する。
中々でてこない。
待ちわびる。
イライラが増す。
カッ~

やっと
注文した品が目の前にやってくる。
一口、辛い。
あまりにも辛い。
イライラが増す。
カッ~

覚悟はしていたが辛い。
イライラが増す。
カッ~

想像していた二十七倍も辛い。
イライラが増す。
カッ~

それでも食べる。
イライラが増す。
カッ~

ひたすら食べる。
イライラが増す。
カッ~

食べるペースを止めない。
イライラが増す。
カッ~

何を食べているのかよくわからなくなってくる。
イライラが増す。
カッ~

何のために食べているのかよくわからなくなってくる。
イライラが増す。
カッ~

それにしても辛い。
イライラが増す。
カッ~

なかったはずの食欲がみなぎっている。
イライラが増す。
カッ~

ほんと辛い。
イライラが増す。
カッ~

味よりも辛さしか感じなくなってくる。
イライラが増す。
カッ~

水はもう何杯目だろうか。
イライラが増す。
カッ~

ちょっと食べるペースが落ちる。
イライラが増す。
カッ~

辛いが食べ続ける。
イライラが増す。
カッ~

食べることに意地になっている。
イライラが増す。
カッ~

周りの声が聞こえなくなるほど
食べることだけに夢中になっている。
イライラが増す。
カッ~

汗を拭いても拭いても流れる。
イライラが増す。
カッ~

夢中で食べるが辛いもんは辛い。
イライラが増す。
カッ~

なんとか麺と具は食べきる。
イライラが増す。
カッ~

飲まなくていいスープを飲んでいく。
イライラが増す。
カッ~

水と交互にスープを飲んでいく。
イライラが増す。
カッ~

スープ飲んで
水を飲んで
スープ飲んで
水を飲んで
ちょっと休んで
またスープを飲んでを繰り返す。
イライラが増す。
カッ~

途中で気づく。
飲みきるのは無理だと。
イライラが増す。
カッ~

それでも飲めるとこまで飲もうとする。
イライラが増す。
カッ~

何と戦っているのか。
イライラが増す。
カッ~

何で意地になっているのか。
イライラが増す。
カッ~

コップの水を置いて深呼吸。
イライラが増す。
カッ~

鉢に手が伸びない。
イライラが増す。
カッ~

手を合わせて無言のごちそうさま。
イライラが増す。
カッ~

当然だけど完食はできなかった。
イライラが増す。
カッ~

それにしても辛かった。
イライラが増す。
カッ~

辛いにも程がある。
イライラが増す。
カッ~

まだ水を飲みたくなる。
イライラが増す。
カッ~

衝撃的な辛さだった。
イライラが増す。
カッ~

食べたばかりなのに辛さしか記憶に残っていない。
イライラが増す。
カッ~

味を思い出せないレベルの辛さが舌に残ったまま。
イライラが増す。
カッ~

混み合う店内をかきわけ席を立つ。
イライラが増す。
カッ~

会計にも列が出来ている。
イライラが増す。
カッ~

店を出る。
イライラが緩む。
カッ~

風が強い。
イライラが減る。
サァ~

かなり涼しい。
イライラが消える。
スゥ~

味ははっきり覚えていないが
辛さしか印象に残っていないが
うまかったという満足感に満ちている。
イライラは消えている。
フゥ~


が、
辛さしか印象に残っていないのに
「うまかった」という感想は
どういうことかと自分でも思う。
イライラが顔を覗かせる。
カッ~

この「うまかった」という満足感は
暑さと辛さによる
イライラの影響で生まれた感覚?
イライラがよみがえる。
カッ~

味は大したことなかったんじゃないかと自問する。
イライラが増す。
カッ~

舌は辛さしか思い出せないままでいる。
イライラが増す。
カッ~

風が再び強く吹く。
イライラが緩む。
サァ~

かなり涼しい。
イライラが減る。
スゥ~

風が抜けて全身が気持ちいい。
イライラが消える。
フゥ~

味ははっきり思い出せない。
辛さしか印象に残っていない。
「うまい」という満足感は
暑さと辛さが混ざりあって
生まれた感覚の気もする。
けれど
「まあいっか」と想う。
ハァ~


自由詩 猛暑の行列 辛いライ雷カッ~ Copyright komasen333 2015-08-24 14:16:26
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