二人称
凍月




僕の頭の中を
くるくると舞う君は
僕の頭の中を
ぐるぐると回す


“君”とかいう誰かの為に
あなたが書いた詩を読んだ
あなたが言う“君”はきっと僕じゃない
僕は君じゃない 当たり前
それは誰か
僕以外の誰か
だから僕はその人に嫉妬する
無意味なのにね 分かってるさ
だけど昏く冷たい感情が
“君”を見る度に蠢いてる

いつだって僕の言葉は
あなたの為にあるのに
僕の使う二人称は全部
あなたの為にあるのに
あなたが呟く“君”は僕じゃない
きっと僕と同じように
誰か一人の為の二人称
だから僕は“君”になりたいけれど


君の二人称
君は二人称
僕の二人称
僕は一人称
君という二人称が僕の三人称にとっての一人称の為の二人称?
僕が君と 僕達でない限り
僕は二人称にはなれない



君、君、君
ぐるぐる巡る
禁断の質問が頭をよぎる
「君が歌う“君”は誰ですか?」

二人称がくるくると回る






自由詩 二人称 Copyright 凍月 2015-08-20 21:29:40
notebook Home 戻る  過去 未来