ある土曜日
番田 


私は代々木公園の特設ライブ会場にいた
しかし 友達に呼ばれた 私は
すでに興味を無くしていた 似ているものに
何も興味を覚えなくなっていた


だけど 似ていないものとは
一体なんだろうと
前に立っている女性の背中を見ながら 考えていた 
人の心を 壁を透かすように見ることができたなら


似たような服を着た 女性たちが
似たような出店の前を通り過ぎていくのはなぜだろう
似たような内容の会話が聞こえる
いつかの 同じ私がいたような 空間の中で



それから 友達と別れた 帰り道に
いつも入ったことのない小さな飲み屋に 私は入った
すると 私を迎えてくれた綺麗な店員と 素敵な店主
私は少しだけこの街の話をした それは楽しいひとときだった


彼はもう 二十五年も店をやっているらしかった
あの美容室と同じですねと即座に私は口にした
ゴリラのぬいぐるみは二十五年前に私があげたものだよと彼は言った
そんな 素敵な話を今日は得て 私は家に帰った


自由詩 ある土曜日 Copyright 番田  2015-07-12 22:16:39
notebook Home 戻る