或る米軍少佐の終戦回顧録
竜野欠伸

原爆が広島と長崎に落ちて
いつのまに真夏の最中
戦争が終わり
港街には帰還兵と
占領軍の兵士があふれていた
マッカーサー元帥の命令で
英語が出来てレポートが書ける
反骨精神があり眼と目で
話すことが出来る人物を
日本で見つけようとしていた

本当の戦争犯罪は何処にあるのか
戦争が仕事である世界があるとしたら
民衆の命を戦いで守る仕事がある
戦いとは勝ち負けであったとしても
本当の真実は神々でさえ
知りはしないのかもしれない
真実が知りたいのだ

まだ民衆の耳の中では
ラジオの玉音放送で
戦争の無条件降伏による
報せが流れていた
誰が戦争を始めたのか
誰のためにどうして戦争が起きたのか
神であった昭和天皇は
戦争犯罪のすべてを負うことが出来るのか
日本の首都を中心に
調査する必要があった
占領が失敗すれば
歴史は繰り返すと占領軍は
太平洋の彼方にある
ペンタゴンの占領軍司令部より
伝令を受けた

少佐は占領軍本部に
旧帝国軍から兵士の
転属と徴用するために
暗号電報のやり取りを
ワシントン-東京間で行っていた
まだ旧帝国軍には
旧陸軍にも旧海軍にも
神々がいることを疑わない
民衆がいたし新聞でさえ
神話には続きがあることを信じていた
大人たちは生きることと
死ぬことは同じことだと
悲報を覚悟していた
子供たちは蝉のように泣いていた
人も街も生垣になって
多くの血も涙も流れていた

民衆は神々になって戦った
戦争は神々になった
民衆のこころが起こした
民衆が悪くはない
日本人のこころが悪くはない
正義があったとしても
無かったとしても
民衆には力が必要だった
民衆に力が無いので戦争を起こした
知恵と力のある神々がいた
軍規と兵器を司る神々がいた
神々は民衆に力を与えた
民衆は力をもたらされて
戦ったのだ
武器を持った

少なくはない
戦犯とつながっていた
政治犯や
経済犯がいたはずだ
戦争のなかで
戦争を商いにする人間がいたのだ
戦いのなかにあって
戦いのそとに逃れることで
民衆が戦わなくては貧困にあえぐなかで
国益を私物化して
自らの保身と
利益を追求する人間がいたのだ
そのために
たくさんの民衆が死に
多くの神々でさえ死んだのだ
昭和憲法は民衆による犠牲を
無駄にしないために
必要だった


自由詩 或る米軍少佐の終戦回顧録 Copyright 竜野欠伸 2015-07-06 21:46:47
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