夕暮れの美容院で
番田
私は髪を切った
地元の美容室で
彼女はもう二十五年も美容室をやっているらしい
そんな話を聞いた ひどい眠気の中で
以前は 二人 男女の従業員がいたらしいが
結婚して独立したのだという
その話をしているとき
彼女は 少しだけ寂しい顔をしていたけれど
私は 彼女が勧める世界一のシャンプーの話を聞いた
髪を切るだけ
なかなかそれだけでは商売が立ち行かないのかも知れない
そんなことをぼんやりと考えながら
この店は 今後どうなるのだろうかと 考えていた
彼女が費やした刻はお金では代えられないものかも知れない
彼女がこの地に築き上げた 信頼と実績
彼女が愛した店 そしてこの地に住む人々