記憶
たもつ

 
 
水のない駅でした
蝉の音がしました
産まれた日もあやふやなままに

服の端が揺れて
私たちは何か話をしました
並んでいました

指を伸ばせば届きそうなほど
影になるとすべてのものは
優しい形をしていました

二色の列車に乗りました
どこに行きたかったのでしょうか
どこまで行っても
私の記憶の中でしかないのに




自由詩 記憶 Copyright たもつ 2015-06-28 18:40:11
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