6畳の果て
吉原 麻

今 は 雪国 にいる あなた をおもう
と、窓のそとが 曇った 気がして
ただただ あいたいなあというか とおまきに見てみたいなあというか
そんな気が する

(クリーム色のカーテンを 薄汚れている みたいと笑ったり
 ビール の入ったグラスを傾けて猫に飲ませたり
 ベランダでロケット 花火 をして大家さんに怒られたり
 夜中の箱根の裾野の夜景があんなにも 綺麗 だって教えてくれたり
 そのあと芦ノ湖に落ちたり おまわりさんに救出されたり
 ある日急に仕事を変えて帰ってきたり
 その次の日の朝 起きたら部屋は がらん としてたり)

ああ
という言葉はあまり使いたくない言葉のひとつだ
ためいきにもきこえるし 感動にも 感心にも 万能なんだ
決して手の届かないものをおもい 心を痛めるとき
(けれど心という言葉もわたしはあまり好きではない)
その瞬間の痛ましい自分が嫌いではない

あいたい とおもったら あうしかない

わたしは
お酒 だって飲めるし 煙草 だって吸えるし ごはん はなんでもおいしい
まだ 山登り だってできるし スキー もできる ハンドボール はもう忘れちゃったけど
車 も運転できるし 原付 も持ってる 自転車 一日中 こげる
はしって はしって あなた に あいにゆける


自由詩 6畳の果て Copyright 吉原 麻 2005-02-10 15:27:30
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