15
きるぷ

運河沿いの斜面に座って
ビールを飲んだ
目の前をくすんだ色の船が
行き来した
昔の音楽ばかり流れるラジオ番組を聞きながら
休日に凭れかかり


(潮の匂いは 遠くの国の話のよう
 あなたのことは はるか先の未来のよう)


小さく流れるピアノの音が
散歩する犬の吐息と混ざり合い
休日は昨日と明日のあいだに
溶けてゆこうとしている


座りながら
それでもかろうじて
眠りこまずに
しかしはっきりと
薄れてゆくのを感じながら



自由詩 15 Copyright きるぷ 2015-04-15 00:46:32
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