誘蛾灯
捨我

嗚呼、今日もまた
死んだ目で笑う作業が始まる
虚像を作るのも楽じゃない
けれど今さら捨てられもしない

慰めの言葉なんかじゃ傷は癒えない
そんなことわかりきってるはずなのに
ほらまた
口をつくのは愚痴ばかり

「こんなはずじゃなかった」
そう口にすればする程遠ざかる
夢に見た私が笑ってる
まだ間に合うかなんて
考えるのも怖くなった

「どこで間違った?」なんて
反省してるふりをする
現状から目を逸らすには
都合のいい口実ね

電灯に群がる蛾のような
致死性の走光性
自然法則に従って
地面が近づく
地面は近い


自由詩 誘蛾灯 Copyright 捨我 2015-04-04 19:53:16
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