侍ジャパン 2015年初陣
チカモチ

本日、侍ジャパンの強化試合。久しぶりの野球観戦なので、一週間くらい前から楽しみにしていました。

欧州代表相手に4-3で逆転勝ちでした。2点を追う8回に又吉が3者凡退の快投で流れを変えると、その裏に筒香、松田のタイムリーで同点に追いつき、雄平が勝ち越し打。最後は守護神・西野がきっちりと抑えました。

試合展開としては理想的なのですが、しっくりこなかったのは私だけでしょうか。4回の雄平の守備。あれはどうしてもいただけません。センターオーバーの2塁打でしたが、並のセンターなら捕れていたと思います。あれを捕り損ねて、汚名返上でヒットを打ってお立ち台に登る。ドラマチックだとは思います。でもどうも好きになれない。本当に称えるべきなのは、大事な局面で危なげない守りができる選手、ああいうミスを絶対にしない選手。さらに言えば走者を刺せる選手だと思うのです。先日のイチローのように。

打撃、特に今回のような火事場の馬鹿力的なものは時の運が大きいと思うのですが、守備は日頃の練習の賜です。そして私は土壇場の精神や根性をアテにする選手よりも、そういう努力を重んじる選手のほうが好きなのです。もうこのブログで何度も書いていることですが、野球を観ているといつもその結論にたどり着きます。

守備のうまい選手はアンテナの張り方が違います。たとえ打球がこなくても、一球ごとにきちんと反応している。だからこそスタートの一歩が全然違うし、余裕を持って落下地点に入ることができるのです。
試合全体を通してそういう姿勢でいるのだから、疲れ方が全然違うと思います。マウンドやバッターボックスと違って観客には気づかれにくい。でもそういう選手のワンプレーで試合が決まることもあります。それは場当たり的なものではなく、日々の努力と一試合を通しての集中力の産物です。それができる選手は無条件に敬意を払えます。

ちょっと飛躍しますが、人生についても同じことが言えると思っています。たとえば誰かが死んだとする。死んだときになって初めて「もっと優しくしておけばよかった」と涙を流すことは、この世でもっとも馬鹿げた後悔のひとつだと思います。
明日が今日と同じである保証はどこにもないのだから、人はそれを常に意識して生きるべきです。後悔のないように。人に対しては公平に、出来る限り誠実に。そういう努力をすることなく、その場になって簡単に涙を流すような人間を私は個人的に好みません。
実際に遂行するのはとても難しいことです。でも難しいからといって放棄するような人間に、少なくとも私はなりたくありません。

強化試合とはいえ、国際試合のチャンスできっちり仕事を果たせた雄平は立派だったと思います。でもいかんせん、その前のお粗末なプレーのほうがインパクトが強すぎた。自分の中でプラマイゼロにはならなくてマイナスのままでした。ヒーローインタビューなんてもってのほかです。
もちろん運動能力の問題もあると思います。でも今日の守備を見る限り、彼は明らかに練習不足です。プロとしてお金をもらっている以上、もっと危機感を持って毎日のトレーニングに取り組んでほしいと切に願います。

救いだったのは、勝利監督インタビューで小久保が雄平のことにはあまり触れず、その前のイニングで好投していた又吉を褒めていたことでした。彼も同じように感じていたのなら嬉しいのだけれど。


散文(批評随筆小説等) 侍ジャパン 2015年初陣 Copyright チカモチ 2015-03-11 00:06:59
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