焼き魚
とよよん

色を失った街では 時が止まっている
汚染物が詰まる 丸い仮の宿も灰色
谷間に堆く積まれ
沈黙。焼かれる順番を待ちながら、
細胞のように艶やかに光りながら。

−−貝たちは飲み込む泥が核の光に冒されているなど知る由もないな
−−無邪気に泥を吸ったり吐いたりしているや
−−そして大きな鯨のお腹には
−−濃縮された爆弾が育つ

焼き魚
福島で供される魚は
遠き地より運ばれる 異郷の魚
(すぐそこにあるというのに)
あな恋し 故郷の魚


(2015/2/19にツイッター投稿した詩です。黒木アンさんと行った連詩の一部。)


自由詩 焼き魚 Copyright とよよん 2015-02-26 07:11:23
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