牢屋の宴
鵜戸口利明

魑魅魍魎の
跋扈した
牢屋にぼくはいた
その囚人たちと
夜な夜な
酒を酌み交わしていた

正直言って
ほんとは
こんな狐の皮を被った狼のような
世の人々と
酒など呑みたくはなかった
天使たちと
酒を呑みたかったのだ

喋る言葉がなかった
囚人たちをみ回しながら
吐き気を催した
卑屈な眼をして
人々はぼくをみていた

タバコを吸っていると
囚人たちもみんな
ぼくと同じように吸っていることに
気がついた
人々はみんな
ぼくと全く同じことを
考えていたのだ

肺に
煙をおもいっきり吸い込むと
クラッと
眩暈がした


自由詩 牢屋の宴 Copyright 鵜戸口利明 2015-01-08 08:14:20
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