葉leaf




夜が降り続けている。サラサラと、粉雪のように降り続けている。人々は夜を一身に浴び、結局何も洗い落とせないことを知る。夜は何も洗い落とさない代わりに、ただ過ぎていく一日の最終行を書き続ける。無限に連なる最終行にはどこかに私の一日が書かれている。その一行が今降り過ぎていった。

夜が集まり続けている。グルグルと、竜巻のように集まり続けている。人々は夜に巻き込まれ、結局何も動かされないことを知る。夜は何も動かさない代わりに、ただやがて来る明日を生み出すために渦巻き続ける。私の明日はどんな渦からも生まれない。私の胃の中に今日著しく生長した、樹上の夜の梢から私の明日は生まれる。

夜が固まり続けている。コチコチと、氷のように固まり続けている。人々は夜に閉じ込められ、結局何も奪われないことを知る。夜は何も奪わない代わりに、ただ季節の中で最も美しい結晶になろうと競い続ける。たくさん並んだ夜の結晶の一つは、あなたに宛てた恋文に込めた想いの結晶だ。遠き日のあなたよ、今こそ返事をくれるか。

夜が開き続けている。パチパチと、火花のように開き続けている。人々は夜の新生を肌に感じ、結局何も語られないことを知る。夜は何も語らない代わりに、ただ今日一日の太陽の歌を演奏し続ける。太陽は毎日異なる歌を歌うため、夜が開く変奏もその日にしか存在しないものだ。私は夜の開く変奏の一フレーズを取りだし、明日の君に歌って聞かせよう。


自由詩Copyright 葉leaf 2015-01-08 04:47:16
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