復讐
葉leaf




幾つもの重い十字架を背負って
衆目の軽蔑のまなざしに怯えながら
私は丘の上へと向かいました
背負う義務などなく
ましてや犯した罪などなく
ただ善良な人たちが幸福であるために
善良なシステムと流麗にかみ合わなかったため
理由も分からず排除され
命の危機に瀕しました
今や人類はすべて私の敵でした
人類は隠していた獰猛な牙と爪をさらし
私はただその変身が信じられず
それまで信じていた愛は
私の盾となっていたすべての愛は
いともたやすく私を刺し貫く憎しみの鉾となったのです
私は世界でたった一人の人種になりました
私は孤独が窮まるところに一つの萌芽を感じました
向けられた憎しみには等量の憎しみを
負わされた罰には等量の復讐を
押された烙印には相手を傷つけることで
世界の構造を裏返していく決意でした
たった一人の人種が世界を支配し
善良で獰猛なすべての人類を組み伏せる
そのための復讐
だが私の復讐はこのように詩を書くこと
言葉を用いて善良な人間の欺瞞を暴き告発すること
その憎しみをリズムと読みやすい旋律に乗せて多くの人にぶつけること
そして自らの悲惨を悲惨そのものとして訴えること
そこに込められた抒情で人の心を傷つけること
告白します
これまで私の書いてきた詩は
内容がどんなものであれすべて復讐でした
言葉を通じて人類の心を傷つけ
言葉を用いて醜い真実を暴きだすことによる
世界でたった一人の人種による
世界で最も切実な
すべての人類に対する復讐でした


自由詩 復讐 Copyright 葉leaf 2014-11-30 05:31:04
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