In Retrospect
凍月



冬の冷気が
身体に刺さり、抜けてゆく

雪の一片が
銀木犀の花弁に見えて
淡雪の香りが心を満たした

視界の端で誰かが動く
誰もいない
ただの錯覚
既視感
また君じゃなかった

次の曲に切り替わる時
目眩が追憶を引き起こす
隣にいた君を思い出す
あの寒さが現在と重なる


銀木犀の一片が落ちてきた
あの曲を聴いて思い出した
風景が脳裏に現れて消えて
あの日の月に思いを馳せた



あの日、君の手は冷たかった

追憶の中で
初めて知った






自由詩 In Retrospect Copyright 凍月 2014-11-26 23:54:29
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