月は彼女の下
吐水とり

電気椅子に座らされている

アヒル座りの執行人 、
月は彼女の下


凍る意識のなかで
「冗談だよ」って微笑むのを待っている
あなたは立ち上がりゆっくり近づくと僕の喉に手をつっこんで中から赤い蝶をつかんで透き通ってすこし青いソーダの中に一息に沈めてしまった


蝶は沈む
蝶は沈んでいく
「だれだってそう、
自分はどこまでも軽いっていう
こんなに簡単に溺れてしまうのに」
蝶は目を閉じる、
赤い身体にいくつもいくつもつめたい泡が貼り付いては浮かぶ


手首に巻かれたコードからどくどくと僕が逃げる


グラスから濡れた蝶をつまみ出して
彼女は口に咥えて僕の目をみてゆっくり笑っ














自由詩 月は彼女の下 Copyright 吐水とり 2014-11-24 18:19:55
notebook Home 戻る  過去 未来