ボクの名画座〜映画あ〜じゃこ〜じゃ〜第一館
逢坂たかのり

 『ポエム座』三連投以上出来ないのね…ならば場違いは承知の助、このようなカタチで
鑑賞映画の感想などを、詩を書く皆様にお読みいただければと思い立った次第。
 月単位で区切って、作品ごとに加筆していこうと思っております。大きなネタバレは基本なしってことで。
 フェイバリット作、感銘を受けた作品、『オレデミー賞』作についてウダウダ書いていきたいと思っていますが、いずれ「責任者でてこいっ!」と叫びたくなる『マイ・ラズベリー賞』受賞作なんかも。
 コメントとかいただけたらもちろん嬉しおますが、返信遅れちゃうことがあると思いますので最初に謝っておきます、ごめんちゃい。でも、紹介作についてあれやこれやお話できたらいいなぁ、とも思っております。
 てなわけでどんなペースになるのかいつまで続くのか全く未定、館主映画そんなに観てるわけじゃないけど「ボクの名画座」見切り発車で勝手に開演!
「ブ〜〜〜〜〜ッ!!」

?『竜二』(1983)〈監督=川島透 脚本=鈴木明夫(金子正次)>
 
 記念すべき一作目は伝説の俳優、金子正次がシナリオを書き主役を演じ遺作となった『竜二』とさせていただきます。
 ヤクザ渡世に疲れた男がカタギになろうとするが上手くいかず、やはりヤクザに戻る、ただそれだけの話し。ただそれだけの話しだからこそ、主人公がきらめき脇役が生きた。もちろん金子正次の圧倒的魅力と存在感を忘れてはならない。文字通り命を削りながら(公開初日に入院、十日もしないうちに亡くなる)素晴らしい「主演映画」を完成させた金子の恐るべき執念。
 傑作かつ佳作、の両面を持つ稀有な一本だと思う。生きていればどんな役者になって、どんな映画に出ていただろう。
 ボクはこれからもボチボチと映画を観るつもりでいるけれど、この作品がMYベスト3の一つから絶対にはずれることはないでしょう。


?『遠雷』(1981)
〈監督=根岸吉太郎 脚本=荒井晴彦>
 
 永島敏行、石田えりの演技はこの時点でそう上手ではない。どちらかっていうと下手かもしれない。んがしかし、だからこそ立松和平原作の泥臭い作品世界に見事ハマった。
 一瞬ドキュメンタリー観てるみたいに感じられる瞬間すらある。こんな二人、当時の栃木に絶対ウヨウヨいてたと思う(笑)。
 ダメ親父のケーシー高峰、その愛人の藤田弓子、奔放な人妻の横山リエ、そのちょっと壊れた夫の蟹江敬三(カニエ感全開!)、破滅に向かう友人のジョニー大倉……お見事というより他ないキャスティング。過不足なくキレとコクのある荒井晴彦のシナリオ。ロマンポルノと言っても違和感ない根岸吉太郎の大胆な演出。
 すばらしい原作を脚本化、映画化するっていうのは、こういうことなんだよっ!
 タイトルにもなってる遠雷鳴るラストシーンも印象的だけど、その前の結婚式で永島、石田が『わたしの青い鳥』をデュエットする場面は邦画史上に残る大傑作シーンだと思います。


?『櫻の園』(1990)
〈監督=中原俊 脚本=じんのひろあき〉
 
 原作は吉田秋生の漫画。読んだことあるんですが、この作品が女子高生の間でこれからも読み継がれていくことを願うわ、おっちゃんは。そしてもちろんこの映画においてもそれは然り。
 まず物語の中の時間と鑑賞時間がほぼ変わらないっていう構成がすばらしい。観てる自分もあの演劇部の中の一人になってるような気持ちでずっと観ることができるんですよね。
 つみきみほの女豹の子供のようなかわいらしさ! そして中島ひろ子と白島靖代のスローモーション記念撮影シーン! 観て!女の子観て!全然古びてないから観て!
 あえてひっかかった点を記すなら、文化祭公演本番当日ってのは、もう少し全体にピリピリした雰囲気があるんじゃないかと。ちょっと部員リラックスしすぎじゃなかろうか。ここは評価の分かれるところですね。
 でもエバーグリーン的な青春映画として、今後も残り続けていくことは間違いないでしょう。ていうか残らなきゃ嘘だ。白島靖代、つみきみほ、もうあんまりテレビで見ないけど、開店休業状態なのかなあ。惜しいよなあ。大人になったあなたたちを観たいよ。


?『ソナチネ』(1993)
<監督、脚本=北野武>

 この作品、公開当時劇場で観てるんです。客席ものの見事にガラッガラだったのと、観終わった後、衝撃にボー然としつつ京都市街歩いてたの覚えてます。
 シナリオをほとんど使わないアドリブ演出で撮影が進んでいったそうなのだけど、そのくせシナリオがめちゃくちゃしっかりしてるっていう北野演出のもの凄さ。最初から最後まで飽きさせない。
 去年北野映画はけっこう観ることができたのだけど、ボクはこれがいっとういいんじゃないかと思うなあ。ベネチアで賞取った『HANA‐BI』なんかよりよっぽどいい。
 ストーリーそのものは単純なのですね。身内に嵌められて沖縄にいったヤクザたちが抗争に巻き込まれ次々殺されていって、最後主人公が復讐してテメーも……っていうただそれだけの話。
 ただそれだけの話が、各キャラが立ちまくってるのと、数々の印象的な場面により彩られ「特別な話」になってるわけです。でもいい映画って基本的にそういうものなんですよね、きっと。
 ヒロインの国舞亜矢もよかったなあ。この人も全然見ないなあ。惜しいわぁ。
 そして殺し屋役のチャンバラトリオの南方師匠!これがもう最高の配役! 砂浜でハイビスカスの花をパーっと撒きあげるシーンは鳥肌もの! この映画は「世界のキタノ」の映画であると同時に南方師匠の映画であるとも思います。
 なんで客入らなかったのだろうか。公開当時、難解っていう意見が大勢しめてた覚えがあるのだけど、全然そんなことなくって、良質のエンターテインメントとして十分楽しめる作品だと思います。


?『コミック雑誌なんかいらない!』(1986)
〈監督=滝田洋二郎 脚本=内田裕也、高木功>
 
 正直内田裕也って嫌いです。変人きどりの芸能界に巣くうヌエみたいな男だと思う。
 ただこの作品の彼は素晴らしい。下手くそだけど素晴らしい。言うなれば「味」まみれ。突撃りポーター、キナメリは彼以外考えられない。中学生のときにテレビで観た『十回のモスキート』の彼もいまだに強烈な印象を残している。なぜ映画俳優としてそのまま進めなかったのか。
 内田が書いたというシナリオはダメ。起承転結がグダグダ。まあ当時実際に起こった事件や社会現象を羅列していく構成になってるから、仕方ないといえば仕方ないんだけど。ただそのダメさを超える力と熱が本作にはある。
 ラスト、豊田商事の永野会長襲撃事件をモデルにした場面の、ビートたけしの鬼気迫る演技を観るだけでも鑑賞の価値あり。(あれ、中坊のときだったんだよなぁ。犯人がドアバンバンとパイプイスでぶっ叩いて、窓から部屋に侵入するところとか普通にニュースで流れててねぇ。血まみれで犯人の二人が出てきてねぇ……子供心にホント怖かったの覚えてる)
 公開からずいぶんたった今でも、いや、メディアリテラシーが問われてる今だからこそ、特に若い方々にはゼヒ観ていただきたい作品。


?『TATTOO〈刺青〉あり』(1982)
〈監督=高橋伴明 脚本=高橋伴明、西岡琢也>

 実際にあった三菱銀行北畠支店強盗殺人事件の犯人梅川昭美をモデルとし、その事件発生までを描いた作品。
 この陰惨な立てこもり事件、ボクが小学校一年の時に起こったもので、閉じられた銀行シャッターが延々と映され続けるという異様極まりないテレビ中継の様、そして隠し撮りされた立てこもり犯、ウメカワのシルクハットにサングラスで不敵に笑う新聞掲載写真は、幼心に強烈なインパクトを与えました。犯罪報道の最初の記憶です。
 語弊があるかもしれないけれど、アウトサイダーに光を当てることにより、そこから見えてくるものを探ろうとしていた、そんな時代が邦画界にあったのではないでしょうか。
 そして関根恵子。「男をアカンようにする」本作ヒロインは彼女にしかできない。俗っぽい美人さに引き込まれて観るんだけど、観終わったあとは聖なる清らかさを残す、そんな感じでしょうか。この聖俗混然一体感は彼女にしか出せないものだと思う。 ボクの中では邦画界のセックスシンボルは彼女なんですねえ。



?『瀬戸内少年野球団』(1984)
〈監督=篠田正浩:脚本=田村孟>

 これはですね、個人的な作品評価としてとても高いってわけじゃないんですけどね。話しとっちらかってる感もあるし、もうちょっと戦後の野球を濃やかに描いてほしかったって思いもあったりするんですけどね。あ、でも十分素敵な作品なんですよ。
 それより何より惚れちゃったんですよね、美少女ヒロイン、波多野武女(はたのむめ)を演じた同級生の佐倉しおりちゃんに。でね、白ブラウスの駒子先生は夏目雅子様なわけでしてね。もう小6のボクは「何やこの気持ちは…どうしたらええんや…」てなもんですよ。あの切ない気持ち、今でも抱えていますよ。これも映画の力なんだろなあ。
 雅子様には永遠に逢えなくて、しおり嬢もずいぶん前に結婚引退してしまって……
 永遠の「胸キュン映画」っす。


?『BU・SU』(1987)
〈監督=市川準:脚本=内館牧子>

 こういう陰影のある青春映画が今の時代もっと作られなくっちゃならないと思う。
 クライマックス、文化祭の「八百屋お七」には驚いたなあ。ネタバレになるから書かないけれど、あれですよ。あの痛みを描いてこその青春映画なのですよ。
 田舎から独り出てきて、芸者修行しながら高校通ってるっていう主人公、麦子の設定もいいんですよねぇ。また富田靖子のちょっと暗い影がよく合ってるんだ 麦子に。
 もっと若い時に観ておきたかった一本。ボクが女の子だったら10点満点、生涯の一編になってたかもしれんな……ってなんだそれ(笑)。


?『台風クラブ』(1985)
〈監督=相米慎二:脚本加藤祐司>

 好き嫌いがはっきり分かれる作品かもしれません。
「なんじゃこりゃ?」な場面もけっこう出てくるし、終わらせ方に納得いきかねるところもあったりする。それでもこれは80年代邦画界に大きな爪痕を残す名画。
 台風襲撃直前の学校に取り残された少年少女たち、そして街をさまよう一人の少女…ってこの設定が素晴らしいと思うのです。そんな状況に置かれたら、そりゃこの年代の抱える危うさ、もどかしさ、やりきれなさ、全開するってものですわ。やっぱり映画って最初の設定がすごく大事だと思います。
 あるいは「映像詩」と呼んでもいいのかもしれないですね、この作品は。解釈は各々に委ねられてる。でもこの「説明しようのなさ」こそ監督が撮りたかったものなのかもしれないなあ。 だって青春なんて誰にも説明できないもんな。
 観賞会開いて、一晩中語り明かしたい、そんな作品です。
 バービーボーイズの『暗闇でダンス』で開幕!!!


?『麻雀放浪記』(1984)
<監督=和田誠、脚本=和田誠、澤井信一郎>
 
 麻雀を知らなくても十分楽しめる娯楽作。実際ボクは麻雀知りません。でもこの作品は本当に面白い。
 特定のジャンルを描いて、門外漢を納得させ、楽しませることができてるってのは、結局人間がきちんと描けてるってことなんだなあと思う。
 阿佐田哲也の原作も読んだことがありますが、見事にその世界観を壊さず生かしてたと思います。
 坊や哲、ドサ健、女衒の達、上州虎、出目徳…出てくるたちキャラの立ちっぷりたらない。誰もが心から楽しみながら役になりきってるのが伝わってくるのです。特に出目徳を演じた高品格さんのうらぶれた老博打打ちの演技はこの作品を支える大きな魅力の一つと言えましょう。
  ちょっとラストの勝負に比重置きすぎの感がなきにしもあらずだけれど、過不足のない省略効いたシナリオ、あざとくないモノクロの画面、昭和邦画史に残る娯楽映画、かつ18、19の少年がいろんな痛みを覚えながら少しずつ大人になっていく青春映画の傑作でもあります。
 そして加賀まり子、大竹しのぶ、さすが!


散文(批評随筆小説等) ボクの名画座〜映画あ〜じゃこ〜じゃ〜第一館 Copyright 逢坂たかのり 2014-11-13 10:11:23
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