大蛇の女
nao

ある夏の終わりの夜、彼女に招かれた私達2人は、四畳半の小さな和室で食事をしていました。貴女は白地に紺色の菖蒲柄の浴衣を着て、しっとりした肌で私達の目の前に座っています。その姿は妖艶と言う言葉が似つかわしくて、和室に飾られた焼物や料理の繊細さといい、話しているの私達がとても上等であるかのような気分に浸らせてくれました。隣に座る見知らぬ男の相手を片手間にして、アルコールを飲んで、飲ませているんだけど、目の前で度を越した事が始まってね。まぁいつもの事だからと言う様に貴女は、ちらっと私達に目配せをして微笑んだんだけど、男が貴女の中に吸い込まれていく様子は、何か血色が良くツヤっとして健康的であり、恐怖でした。ふとすると、貴女は下半身から大蛇になっていて、あまりの迫力に、私達は食べていた、白子を気持ち悪くて吐きました。下半身が何処だか分からなかったからこそ、頭の先まで下半身になってしまった様に見えました。そうして、彼女は男が終えて消えるのを見届けて、役目を終えて、背中側に倒していた頭を持ち上げると人間の姿に戻ったのだけれど。そのゆったりとした仕草は、女らしくて、私達は妖怪になって人間に戻った早技との対比に、より一層うっとりして、彼女の虜になったのでした。


散文(批評随筆小説等) 大蛇の女 Copyright nao 2014-11-11 07:54:18
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