ひずみ
左屋百色

大陸で、
枯葉をペンキで塗ったような芸術が
砂浜で、
新しい季節を注文するらしいよ
噂では
鈍い犯罪は鮮やかな生姜の味
(意味わかるでしょ?
ひな菊を食べながら
逃亡する無意味が
情緒を語り自分を語り
やがて死ぬ。
すべての意味よ、
てめえが最初に死ねばいいのに
てめえはいつも必ず
最後まで生き残る、残りやがる、
食物連鎖が胃の中で破裂するから
順番も法則も無駄に難解で
誰も解けないまま溶けて消える
他人のさびしさを握り潰して
意味が無意味に犯される頃
言葉のない中庭に咲く空白の花、
咲いてはいけない花、
現代の真ん中に咲きやがる花、
とげとげした見えない花、
(意味わからないでしょ?
比喩が比喩に包まれると
語彙が語彙に囲まれて
死んで死んで死にまくる。
斬れないものを
斬って斬って斬りまくる。
こんにちはこんにちはこんにちは、
私は今日から学びます
哲学以外を学びます
入口のない学校へ通います
顔のない先生に
名前のない生徒が私です
ひとつ自慢します
私の得意な楽器はバイオリンです
一度も弾いた事がありませんから
きっと得意です
スカートをめくると
そこにはもう性欲がありません
あるのは殺意です
もしくは新しい季節です
つまり軽蔑された感性です
てめえの言葉が
処女膜を貫通するだなんて
死んでも思うなよ、
こんな午後は情報を遮断して
もう変身できない昆虫に手紙を書く
殺してください
自意識の楽譜を舐めると
演奏が止まります
その前に殺してください
夕焼けが戦車を照らし
環境が死ぬ。色彩が死ぬ。
想像していた街が死ぬ。
冷蔵庫の中にバイオリンを入れて
私は生き返ります
それしか方法を知らないし
魚も肉も腐るだけ
本当の意味で
世界中の詩に包まれたいし
だけど現実にはいつも
私の詩集だけが死ぬ。
一枚一枚、
丁寧に焼かれ死んでゆくけど
哲学が野菜と革命を起こし
薬品が売れる仕組み
(意味わかるでしょ?
弦が切れて素晴らしい音色が
大陸に響きわたる
錠剤は透明な味
画鋲のような星が降る夜に
正しい事をアンプに通したいだけ
死ねばいいのになんて
本当は言いたくないんだ
優しくなりたいし
優しく貫通されたい
大陸で、
(意味がなくなったでしょ?
さようならさようならさようなら、
浮かび上がる情景
未来などない
あるのは現代のみ、


自由詩 ひずみ Copyright 左屋百色 2014-11-08 19:36:15
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