情報の森
左屋百色

まるで
この世界に
僕たち必要ないみたいに
針がまわる。
商店街の電線に鳥が止まり
音符がゆれ
八百屋の帽子に
曲順が隠され
駅ビルが舌打ちする。
喫茶店のメニューには
水しかない。
僕の街が血まみれになる頃
奏でる雨風
紅茶の中で、みんな死ぬ。
一回必ずみんな死ぬ。
ありふれた歌が森をゆらす頃
海が消えるから
個性豊かな痛みを抱え
情報の森を抜けて、
みんな生きる。
次に本当に死ぬまで、
生きて、いく。


自由詩 情報の森 Copyright 左屋百色 2014-10-31 15:15:41
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