三つ編みの少女
藤鈴呼



朝は 叫ぶ
大抵は 二度の 自己主張

一度目は 髪の毛を 引っ張り過ぎだと言って
二度目は 時間が 無いのだと 言って

編み込む 母の手を 煩わす
幼い頃は その 膝の上で
成長すると 少し 恥らいながらも
背を 魅せて
小さく 呟く

少女の成長と共に
黒く 長く 伸びた髪が
幾つもの形に
編み込まれていく様は
正に 圧巻

ゴムで結わえた 切っ先が
筆のように
誰かの頬に 文字を描く

誰かは 切っ先を 持ち手にして
馬の手綱代わりに 遊んだ

誰かは 大切な 存在のように
そっと掴み
やわらかいねと 呟いた

成長した 少女の髪は
振り向く度に 後ろの者を ビンタする
凶器へも 成り果てたけれど

少女は 密かに 狂喜乱舞
見よ 馨しい 我の 切っ先よ
何者にも 汚されては ならぬとばかりに

怪我されては 元も子も 無いのに
可能性を 考えることが
少女は 苦手で有ったから

浅く 緩く 微笑んだ
ゴムばかりは キツク 結んで
唇と 共に 結んで
結わえて
結んで

強く
きつく


自由詩 三つ編みの少女 Copyright 藤鈴呼 2014-11-01 13:30:38
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